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誰も教えてくれない60代FX自動売買の裏側と正しい付き合い方

はじめに

「ほったらかしで、お金が増える」・・・このフレーズに、心が動いた経験はありませんか?

私もそうでした。65歳で定年退職した直後、年金の振込額を見て現実を知りました。「悠々自適」のはずが、毎月の収支は想像以上にタイトだった。そんなとき、ネットで目に入ったのが「FX自動売買」という言葉です。

チャートに張り付かなくていい。プログラムが24時間、自動で取引してくれる。寝ている間にも利益が出る・・・。

元ITエンジニアとして40年以上システム開発に携わってきた私は、「自動」という言葉に妙な親近感を覚えました。プログラムの力は知っている。これなら自分にもできるんじゃないか、と。

しかし、投資を始めて3年。最初の1年は失敗続きでした。その経験を経て、今はっきり言えることがあります。

FX自動売買は、魔法の杖ではない。

この記事では、同じ60代の仲間として、FX自動売買の「本当の姿」をお伝えします。魅力も、リスクも、詐欺の手口も、隠さず全部。そして、もし始めるなら「どう始めればいいか」「どうなったらやめるべきか」まで、具体的にお話しします。

大切な退職金を守るために。心穏やかなセカンドライフのために。どうか、最後まで読んでみてください。

ヒロさん、私もネットで「自動売買で月5万円」って広告を見て、ちょっと気になってたのよね…。本当に大丈夫なのかしら?

テルさん、気になる気持ちはよくわかりますよ。だからこそ、冷静に「事実」を見ていきましょう。甘い話には必ず裏がありますからね。

お読みいただく前に見て下さい

本記事は、筆者(ヒロ)の実体験や調査をベースに構成していますが、分かりやすく解説するために一部フィクションや一般的な事例を織り交ぜています。すべての記述が筆者の個人的な事実とは限りません。また、投資にはリスクが伴い、紹介している手法や結果はあくまで一例であり、将来の運用成果を保証するものではありません。相場環境やご自身の資産状況・リスク許容度によって、適切な投資方法は大きく異なります。実際の投資にあたっては、この記事を「参考の一例」としてご活用いただき、必ず金融機関や公認ファイナンシャルプランナー(CFP)等の専門家にご相談の上、ご自身の判断と責任において進めていただけますようお願いいたします。なお、本記事は特定の金融商品への投資を勧誘・推奨するものではありません。

目次

1. FX自動売買とは?60代が惹かれる「ほったらかし投資」の正体

1.1 自動売買の基本的な仕組みをエンジニア目線で解剖する

まず結論からお話ししますね。FX自動売買とは、あらかじめ設定したルールに従って、プログラムが自動的に売買を繰り返す仕組みのことです。

元エンジニアとして言わせてもらうと、これは要するに「if文の塊」です。「もしドル円が150円になったら買え」「155円になったら売れ」・・・そういう条件分岐を、コンピュータが24時間休まず実行してくれる。人間のように眠くなったり、焦ったり、欲をかいたりしない。そこが最大のメリットですね。

現在、国内で利用できる主な自動売買には、大きく分けて3つのタイプがあります。

スクロールできます
タイプ特徴代表的なサービス難易度
リピート型一定の値幅で売買を繰り返す。レンジ相場に強いトラリピ、ループイフダン初心者向き
選択型用意された戦略(ストラテジー)を選ぶだけみんなのシストレ初心者向き
開発型自分でプログラムを組む。自由度は高いが難しいMT4/EA上級者向き

60代の方がいきなり開発型(MT4/EA)に手を出すのは、正直おすすめしません。プログラミングの知識が必要ですし、何より「自分が何をやっているかわからない」状態になりやすい。始めるならリピート型か選択型が現実的ですね。

え、自動売買ってAIが勝手に儲けてくれるんじゃないの?最近のAIってすごいっしょ?

タケシくん、それは大きな誤解だよ。自動売買のプログラムは「人間が設定したルール通りに動くだけ」であって、AIが相場を予測してくれるわけじゃない。設定が悪ければ、自動で損をし続けるんだよ。

1.2 なぜ60代は「自動売買」に惹かれるのか

定年退職した60代が自動売買に興味を持つ理由は、実によく理解できます。私自身がそうでしたから。

まず、チャートに張り付く必要がないこと。現役時代のように朝から晩までモニターに向き合う体力は、正直もうありません。老眼でスマホの細かいチャートを追い続けるのは、目の奥がズンと重くなる。「自動で取引してくれるなら、自分の時間を犠牲にしなくていい」・・・これは確かに魅力的ですよね。

次に、感情に左右されない取引ができること。投資で一番怖いのは、自分の感情です。含み損を見ると「もう少し待てば戻るかも」と損切りできなくなる。含み益が出ると「もっと増えるかも」と利確できなくなる。プログラムにはその迷いがありません。

そして、もう一つ。これは言いにくいのですが、「何もしないでいることへの焦り」です。定年退職して時間はたっぷりある。でも社会との接点は急に減る。「自分はまだやれる」「何か新しいことを始めたい」・・・その思いが、投資という行動に向かわせるんですね。

ここまでは、自動売買の「光の部分」です。問題は、この光に目がくらんで「影の部分」を見落としてしまうことなんです。

2. 甘い言葉の裏側 FX自動売買の「本当のリスク」を知る

2.1 「自動=必ず儲かる」は幻想である

結論から言います。自動売買でも、損失は普通に発生します。

「え?自動なのに?」と思われるかもしれません。仕組みとしてはこうです。

多くの自動売買プログラム、特にリピート型は「レンジ相場」・・・つまり為替レートが一定の範囲内を行ったり来たりする状態を前提に設計されています。谷で買い、山で売る。これを繰り返して小さな利益を積み重ねていく仕組みですね。

ところが、相場は常にレンジとは限りません。経済危機や地政学的な事件が起きると、相場は一方向に急激に動く「トレンド相場」に変わります。こうなると、リピート型の自動売買は「買ったまま下がり続ける」「売ったまま上がり続ける」という最悪のパターンにハマるんです。

しかも、過去の実績データ(バックテスト)がどんなに優秀でも、それは「過去の相場で通用した」という事実に過ぎません。未来の相場を保証するものではないんですね。

じゃあ、自動売買って結局意味がないの?やっぱり怖いわ…。

いいえ、意味がないわけじゃないですよ。ただ、「自動=安全」じゃないということを知っておくのが大事なんです。包丁だって、正しく使えば便利な道具。でも使い方を間違えればケガをする。自動売買も同じですね。

2.2 60代にとってFXが「特に危険」な理由

FXのリスクは全世代共通ですが、60代にとっては「特に」危険度が高い。これは厳しい現実ですが、目を逸らしてはいけません。

理由は3つあります。

第一に、損失を取り返す時間がない。20代の若者なら、仮にFXで100万円損しても、あと30年以上の労働収入で取り返せる可能性があります。しかし60代には、その時間がありません。退職金が減った分を働いて埋めることは、現実的にほぼ不可能です。

第二に、退職金は「最後の砦」である。若い頃の100万円と、退職後の100万円は重みがまったく違います。退職金は、老後の医療費、介護費用、住宅の修繕費、そして日々の生活費を支える最後の生命線です。これをFXに回すということは、その生命線を自ら切断するのと同じですね。

第三に、レバレッジの破壊力。FXには「レバレッジ」という仕組みがあります。簡単に言えば、手持ちの資金の何倍もの取引ができる仕組みです。国内のFX業者では最大25倍まで。これは「10万円の資金で250万円分の取引ができる」ということ。

利益が出れば25倍。しかし、損失も25倍です。

レバレッジ25倍のリスク例

資金10万円・レバレッジ25倍でドル円を取引した場合、為替レートがたった4円動くだけで、10万円がほぼゼロになります(ロスカット)。ドル円が1日で2〜3円動くことは珍しくありません。つまり、レバレッジを上げすぎると、数日で資金が吹き飛ぶ可能性があるということです。

2.3 「放置」の落とし穴 完全に放置していい自動売買は存在しない

「自動売買」と聞くと、一度設定したら完全に放置してOKだと思いがちですよね。しかし、完全に放置していい自動売買は、この世に存在しません。

仕組みとしてはこうです。為替相場の「環境」は、数ヶ月単位で変わります。日銀の金融政策、アメリカの利上げ、地政学的な紛争、自然災害・・・これらの要因で相場のトレンドはガラッと変わるんですね。

ところが、自動売買のプログラムは「設定した時点の相場環境」に最適化されています。環境が変われば、今まで利益を出していた設定が、急に損失を生み出すようになることがあるんです。

実際に、「半年間放置していたら、知らないうちに含み損が膨らんで、気づいた時には取り返しのつかない金額になっていた」という事例は少なくありません。

最低でも週に1回は運用状況を確認し、必要に応じて設定の見直しや停止の判断をする。これができないなら、自動売買は始めるべきではないと私は考えます。

3. 【絶対に避けろ】60代を狙うFX自動売買詐欺の手口

ここからは、声のトーンを変えてお話しさせてください。これは本当に大事な話です。

3.1 「勝率90%」「スマホだけで月収○万円」の正体

SNSやネット広告、YouTube、LINEグループで、こんな言葉を見かけたことはありませんか?

  • 「勝率90%以上の自動売買ツール」
  • 「スマホをタップするだけで月収30万円」
  • 「AIが全自動で資産を増やします」
  • 「今だけ限定モニター価格で50万円」

これらは、詐欺の可能性が極めて高いです。

金融庁も公式に注意喚起を出しています。「必ず儲かる」「元本保証」を謳う投資勧誘は、法律違反(金融商品取引法)です。プロのファンドマネージャーでさえ、相場で100%勝つことは不可能なのですから。

実際の手口を具体的に見てみましょう。

典型的なFX自動売買詐欺のパターン

パターン①:高額USBツール販売
大学生や若者をターゲットにしていた手口が、最近はシニア層にも広がっています。「このUSBメモリに入った自動売買ソフトを使えば誰でも稼げる」と言って、50万〜100万円で販売。もちろん、中身は市販のソフトか、まったく機能しないプログラムです。

パターン②:無料体験→高額課金
「まずは無料でお試し」と誘い、実際に少額の利益を見せて信用させる。その後「上位プランにアップグレードすれば本格的に稼げる」として、メンテナンス費10万円、アップグレード費20万円と、段階的に高額な費用を請求する手口です。

パターン③:LINEグループ・SNS勧誘
「投資仲間のコミュニティ」と称して、LINEグループやオンラインサロンに勧誘。「先生」と呼ばれる人物の指示に従って海外FX業者に口座を開設させ、高額な自動売買ツールを購入させる。出金しようとすると「手数料が必要」「税金を先払いしろ」と追加で金を要求されるパターンです。

これらの被害者には、退職金をつぎ込んでしまったシニアの方も少なくありません。一度支払ったお金を取り戻すのは、非常に困難です。

3.2 怪しいツールを一発で見抜く5つのチェックポイント

では、どうすれば詐欺を見抜けるのか。以下の5つのチェックポイントを覚えておいてください。1つでも当てはまったら、絶対に手を出さないでください。

  • 金融商品取引業者の登録がない金融庁の登録一覧で確認できます。ここに載っていない業者は論外です
  • 「必ず儲かる」「元本保証」と謳っている:法律違反です。これを言う業者は100%怪しい
  • 数十万円の初期費用を要求してくる:国内の正規FX業者の自動売買機能は、基本的に無料で使えます
  • 実績の「証拠」がスクリーンショットだけ:スクショは簡単に加工できます。証拠になりません
  • 海外の無名FX業者を指定してくる:金融庁に登録されていない海外業者は、トラブル時に日本の法律で保護されません

おじさん、ネットの情報って全部嘘なの?YouTubeとかで「月収100万」って言ってる人もいるけど。

全部が嘘とは言わないけど、「楽して稼げる」系の情報は99%がポジショントークか詐欺だと思っていい。本当に稼いでいる人は、わざわざ赤の他人にその方法を教えないよ。自分で使い続けた方が儲かるからね。

4. それでもFX自動売買を始めたい60代が守るべき「3つの鉄則」

ここまで読んで「やっぱり怖いからやめよう」と思った方。その判断は正しいかもしれません。無理に始める必要はまったくないんです。

しかし、「リスクは理解した。それでも、少額で試してみたい」という方のために、絶対に守ってほしい3つの鉄則をお伝えします。

4.1 鉄則①:退職金・年金・生活費には絶対に手をつけない

FXに使っていいのは「完全な余剰資金」だけです。これは鉄則中の鉄則ですね。

「余剰資金」の定義を明確にしておきましょう。それは、失ったとしても、生活に一切影響が出ないお金のことです。「ちょっと困る」「節約すればなんとかなる」のレベルではありません。「まったく困らない」お金です。

具体的な目安として、まずは以下の資金を確保してください。

  • 生活費6ヶ月分(病気やケガで動けなくなった時の備え)
  • 医療費・介護費の予備資金
  • 住宅の修繕費や家電の買い替え費用
  • 冠婚葬祭の予備費

これらを全部確保した上で、残ったお金の「一部」だけをFXに回す。全額ではなく、一部です。

「ちょっとだけなら…」「これくらいなら大丈夫だろう…」この心理が一番危険なんですよ。投資の世界では、小さな「ちょっと」が雪だるま式に膨らんで、取り返しのつかない金額になることがあります。

4.2 鉄則②:国内の金融庁登録業者だけを使う

海外FX業者は、絶対に使わないでください。これは強く言い切ります。

理由はシンプルです。海外FX業者のほとんどは、日本の金融庁に登録されていません。つまり、日本の法律による保護を受けられないんですね。出金できない、口座が凍結された、サポートが英語しか対応しない・・・こういったトラブルが起きても、泣き寝入りするしかありません。

「海外業者の方がレバレッジが高くて有利」という話を聞くかもしれませんが、高いレバレッジ=高いリスクです。国内業者の最大25倍でも十分すぎるほど危険なのに、海外の数百倍のレバレッジなど、もはやギャンブル以外の何物でもありません。

国内の大手証券会社や金融機関が提供する自動売買サービスなら、金融庁の監督下にあり、顧客資金の分別管理も義務化されています。万が一業者が破綻しても、一定の保護を受けられる仕組みがあるんですね。

4.3 鉄則③:仕組みを理解できないものには手を出さない

これは投資全般に通じる原則ですが、「なぜ利益が出るのか(あるいは損失が出るのか)」を自分の言葉で説明できないなら、そのツールは使うべきではありません。

自動売買を始める前に、最低限これだけは理解してください。

FX自動売買で最低限知っておくべき用語
  • スプレッド:売値と買値の差。これが実質的な取引コストです
  • レバレッジ:手持ち資金の何倍まで取引できるかの倍率。高いほどリスクが大きい
  • ロスカット:損失が一定水準を超えると、強制的にポジションが決済される仕組み。資金が急減する可能性あり
  • 証拠金維持率:口座の安全度を示す指標。これが低いとロスカットされる
  • 含み損・含み益:まだ決済していない状態での損益。確定していないので油断は禁物

これらの用語が「何のことかさっぱりわからない」という状態で自動売買を始めるのは、自動車の仕組みを知らずに高速道路を走るようなものです。便利な道具も、原理を理解していなければ凶器に変わる。エンジニアとして、これだけは断言させてください。

5. 60代からの正しい始め方 「大人の知的なゲーム」として付き合う

ここまで読んで、まだ「やってみたい」と思える方。その意欲は素晴らしいことですよ。大事なのは、正しい手順で、慎重に、一歩ずつ進むことです。

5.1 ステップ①:まずはデモトレードで「お金を使わずに」体験する

最初の一歩は、デモトレードです。これは絶対に飛ばさないでください。

デモトレードとは、仮想のお金(架空の100万円など)を使って、本物の為替相場で取引の練習ができるサービスのことです。国内の主要なFX会社のほとんどが、無料でデモ口座を提供しています。

デモで確認すべきポイントは3つです。

STEP
操作性を確認する

画面の文字は読みやすいか、ボタンは押しやすいか、注文方法はわかりやすいか。老眼でも使えるかどうかは、地味に大事なポイントです。

STEP
自動売買の設定を試す

実際に自動売買の設定をして、どのように注文が入り、どう決済されるかを観察してみてください。仮想のお金なので、失敗しても痛くもかゆくもありません。

STEP
値動きの感覚を掴む

為替がどのくらいの速さで動くのか、どれくらいの値動きでどれくらいの損益が出るのか。この「肌感覚」を掴むことが、リアルマネーで取引する前の最も重要な準備です。

デモトレードは最低でも1〜3ヶ月続けてください。「早くリアルで始めたい」という焦る気持ちはわかります。でもね、デモで3ヶ月練習する時間を「もったいない」と感じるなら、そもそもFXに向いていない可能性があります。投資の世界では、焦りが最大の敵ですから。

5.2 ステップ②:1,000通貨(少額)から始めて「負け方」を学ぶ

デモで十分に練習したら、いよいよリアルマネーでの取引です。ただし、最初は1,000通貨(少額)から。これは絶対です。

1,000通貨でドル円を取引した場合、為替レートが1円動いても損益は約1,000円です。仮に5円の大変動が起きても、損失は約5,000円。これなら、仮に負けても「勉強代」として許容できる範囲ですよね。

ここで大切なのは、最初のうちは「勝つこと」ではなく「負け方を学ぶこと」に集中するということです。

矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、投資で長く生き残る人は、全員「上手な負け方」を知っています。小さく負けて、大きく負けない。この技術を少額のうちに身につけることが、退職金を守る最大の防御策なんですね。

「負け方を学ぶ」なんて、なんだか変な感じね。でも言われてみれば、私も料理を覚えた時、最初は焦がしてばっかりだったわ。

いい例えですね。料理もFXも、最初から完璧にはいかない。でも「焦げた原因」を理解すれば、同じ失敗は繰り返さなくなる。投資も同じですよ。

5.3 ステップ③:撤退ルールを「先に」決めておく

これは、多くの投資初心者が見落とす、しかし最も重要なステップです。

「いくら負けたらやめるか」を、始める前に決めておいてください。

具体的には、以下の3つのルールを紙に書いて、モニターの横に貼ってください。

  • 月の損失上限:1ヶ月の損失が○万円を超えたら、その月は取引を停止する
  • トータルの損失上限:投入した資金の○%を失ったら、完全に撤退する
  • 精神的なストレス基準:夜、損益が気になって眠れなくなったら、即刻やめる

3つ目の「精神的なストレス基準」は、数字で測れないぶん軽視されがちですが、60代にとっては最重要かもしれません。

含み損を抱えているとき、胸の奥がザワザワする感覚。スマホを開くたびに損益を確認してしまう衝動。深夜にふと目が覚めて、相場が気になって眠れなくなる夜。

こうなったら、それは投資ではなく、ギャンブルに支配されている状態です。お金より大事なのは、心と身体の健康ですから。潔くやめる勇気を持ってください。やめることも、立派な投資判断ですよ。

6. FX自動売買だけじゃない 60代の資産運用の選択肢

6.1 FXが向いている人・向いていない人

ここまで読んでいただいて、「FX自動売買、自分には向いていないかも」と感じた方もいるのではないでしょうか。それは全然恥ずかしいことではありません。むしろ、自分の適性を冷静に判断できること自体が、投資において最も大切なスキルです。

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向いている人向いていない人
資金失っても生活に影響がない余剰資金がある退職金や生活費を増やしたいと思っている
性格知的好奇心が旺盛で、経済ニュースに興味がある損失を見るとパニックになる、心配性
期待値「大人の趣味」として楽しめる。大損しなければOK「必ず儲けたい」「生活費を稼ぎたい」
ストレス耐性含み損を見ても冷静でいられる値動きが気になって夜眠れなくなる

「向いていない人」に当てはまる項目が多いなら、無理にFXにこだわる必要はまったくありません。世の中にはもっと安全で堅実な資産運用の方法がありますから。

6.2 60代におすすめの堅実な資産運用

FX以外にも、60代に適した資産運用の選択肢はあります。私自身、紆余曲折を経て、今はFXではなくインデックス投資と高配当株を中心にした堅実な路線に落ち着いています。

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運用方法リスク特徴60代との相性
新NISA(つみたて投資枠)低〜中非課税で長期の積立投資。インデックスファンドで分散◎ 最も堅実
高配当株定期的に配当金が入る。年金の補助に○ 配当で生活費の足しに
個人向け国債極低元本保証に近い安全性。利回りは低い◎ 安全第一の方に
FX自動売買ハイリスク・ハイリターン。元本割れの可能性大△ 余剰資金の範囲で

ご覧の通り、FXはリスクが「高」です。60代の資産運用の「主役」にすべきではありません。あくまで「脇役」、それも「完全な余剰資金」で楽しむ程度が適切ですね。

「じゃあ、新NISAやインデックス投資をやってみようかな」と思った方。その選択は、とても賢明だと思いますよ。

7. よくある質問(FAQ)

60代からFXを始めるのは遅いですか?

遅くはありませんが、若い世代とは違うアプローチが必要です。「大きく増やす」ではなく「小さく試す」「守りながら学ぶ」というスタンスが大切です。リスクを正しく理解し、余剰資金の範囲内であれば、何歳からでも始められます。ただし、「遅れを取り戻そう」と焦るのは厳禁です。

自動売買の初期費用はいくらかかりますか?

国内の正規FX業者が提供する自動売買サービスは、基本的に利用料無料です。口座開設も無料。必要なのは取引に使う資金(証拠金)のみです。数十万円の「ツール代」を請求してくる場合は詐欺の可能性が高いので、絶対に支払わないでください。取引資金は、少額なら数万円〜10万円程度から始められます。

FX自動売買で生活費を稼ぐことは可能ですか?

正直に言います。生活費をFX自動売買だけで賄おうとするのは、極めて危険です。自動売買で安定的に利益を出し続けるには、相応の資金量と知識、そして「負ける月もある」ことを受け入れる精神力が必要です。生活費の柱にすべきではなく、あくまで「余裕資金の運用」として位置づけてください。

国内のおすすめ自動売買サービスはどれですか?

国内で金融庁に登録された主な自動売買サービスには、マネースクエアの「トラリピ」、アイネット証券の「ループイフダン」、FXブロードネットの「トラッキングトレード」、トレイダーズ証券の「みんなのシストレ」などがあります。それぞれ特徴が異なりますので、まずはデモ口座で操作性を試してから判断することをおすすめします。

FXの利益に税金はかかりますか?

はい、かかります。FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」として、一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の申告分離課税が適用されます。年間の利益が20万円を超えた場合は確定申告が必要です。年金受給者の場合、確定申告が必要な条件が複雑なので、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

8. まとめ 60代のFX自動売買は「守り」の姿勢が最強の戦略

最後に、この記事でお伝えしたことを整理しますね。

FX自動売買は、確かに便利なツールです。チャートに張り付かなくていい。感情に左右されない取引ができる。経済の動きを学ぶきっかけにもなる。これらのメリットは本物です。

しかし、魔法の杖ではありません。

自動売買でも損失は出ます。相場が急変すれば大損する可能性もあります。「ほったらかしで必ず儲かる」は幻想であり、完全に放置してよい自動売買は存在しません。

そして、60代の私たちには、損失を取り返す時間的余裕がありません。退職金は、老後の生活を支える最後の砦です。

  • 退職金・年金・生活費には絶対に手をつけない(完全な余剰資金のみ)
  • 国内の金融庁登録業者だけを使う(海外業者・怪しいツールは論外)
  • 仕組みを理解できないものには手を出さない(ブラックボックス厳禁)
  • デモ→少額→撤退ルール付きの手順で慎重に始める
  • ストレスを感じたら潔くやめる(やめる勇気も投資判断)

無理にFXにこだわる必要はありません。新NISAのインデックス投資や高配当株、個人向け国債など、60代に適した堅実な資産運用は他にもあります。FXはあくまで「選択肢の一つ」であり、「大人の知的なゲーム」として余裕を持って付き合えるなら、という条件付きです。

60代にとって大切なのは、「増やすこと」以上に「これまでに築いた資産を守ること」です。

甘い言葉に踊らされず、怪しい詐欺ツールをきっぱりと回避し、自分のペースで、自分の判断で、心穏やかなセカンドライフを歩んでいきましょう。

もし値動きが気になって夜眠れなくなるようなら、それは「やめ時のサイン」です。その時は、潔く撤退してください。それもまた、立派な投資判断ですから。

大切なのは「増やすこと」じゃないんですよ。「これまで築いたものを守ること」。心穏やかなセカンドライフ、それこそが最大の資産です。

※投資はすべて自己責任です。FXは元本が保証されない金融商品であり、投資金額を超える損失が発生する可能性があります。この記事は特定の金融商品を推奨・勧誘するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任で行ってください。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

本記事の注意事項(免責事項)

本記事の内容は筆者の個人的な見解や体験に基づくものです。読者様の置かれている状況や環境によって正解は異なるため、情報を参考にされる際はご自身の判断にてお願いいたします。当ブログの情報を利用したことによるいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。


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